【嗜好の多様性】SMとは?意味と、楽しむ前の基本

SMという言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか。むちやろうそく、こわい道具、痛そうなこと。ドラマや漫画の影響で、極端なイメージを持っている人も多いと思います。
一方で、「少しだけ興味がある」「自分にもそういう気持ちがあるかも」と感じて、ひそかに調べている人もいるのではないでしょうか。でも、イメージがこわいぶん、「こんなことに興味を持つ自分はおかしいのかな」と不安になってしまうこともありますよね。
実際のSMは、イメージよりずっと幅が広く、言葉のやりとりだけで楽しむ人もたくさんいます。そして、楽しむ人たちのあいだでは、同意と安全がとても大切にされているんです。このページでは、SMの意味と、楽しむ前に知っておきたい基本をまとめました。描写ではなく、考え方の説明として読んでください。
言葉の意味
SMは、サディズム(S)とマゾヒズム(M)の頭文字です。どちらも作家の名前(サドとザッヘル=マゾッホ)に由来します。サディズムは相手に刺激を与えたり主導したりすることに、マゾヒズムは刺激を受けたり委ねたりすることに、気持ちが高まる傾向を指します。
| S(サディスト) | M(マゾヒスト) | |
|---|---|---|
| 役割 | 責める・主導する | 受ける・委ねる |
| 惹かれやすいこと | 相手の反応を見る、場をコントロールする | 任せる、少し強めの刺激、恥ずかしさ |
| 責任 | 相手の様子に気を配り、合図が出たら止める | してほしいこと・嫌なことを伝える |
日常会話の「Sっぽい」「Mっぽい」は、性格の傾向をざっくり言う使い方です。性の嗜好としてのSMとは重なる部分もあれば、まったく別の場合もあります。
プレイとしてのSM
SMの多くは、2人で役を決めて演じる「ごっこ遊び」に近いものです。強い言葉や支配のように見えるやりとりも、お互いがゲームだと分かっていて、本当に傷つけることは避けています。医学の解説でも、合意のあるパートナー同士で行う範囲なら普通の行為とされ、多少のSM的な要素は健全な関係でもよくみられると説明されています。
刺激の強さは人によって大きく違います。言葉だけで十分な人もいれば、目隠しや軽い拘束を好む人もいます。「SMならこれをする」という決まった型はありません。
病気とされるのはどんなとき
嗜好そのものではなく、次のような状態が続くときに、医療では「障害」として扱われます。
- 自分の嗜好や行動に強く苦しんでいる、生活に支障が出ている
- 心やからだに大きな危害が出ている
- 同意していない相手が対象になっている(サディズムの場合)
- その状態が6か月以上続いている
嗜好のことで苦しさが続くときは、相談先を頼ってかまいません。
大切にされている考え方
SMを楽しむ人のあいだでは、「安全・正気・合意(SSC)」という言葉がよく使われます。中身は難しくありません。
| こと | 中身 |
|---|---|
| 話し合い | してほしいこと・NGを先に伝え合う |
| セーフワード | 本当にやめてほしいときの合図。出たらすぐ止める |
| 体調と気分 | お酒に酔っている、疲れている日はしない |
| アフターケア | 終わったあとに気持ちとからだを落ち着かせる |
しないこと
- 呼吸を妨げる行為など、命にかかわる行為(知識があっても事故が起きます。ロコペリではやり方を扱いません)
- 相手の同意がないまま始める、途中で止めない
- 写真や動画を撮る(撮るなら事前に話し合い、残さない選択肢も持つ)
SMを楽しむ人の多くが大切にしていること
| 大切にしていること | 理由 |
|---|---|
| 役割は遊びの中のこと | 終わったら対等な2人に戻る |
| 相手を選ぶ | 信頼できる、NGを守ってくれる相手と |
| 少しずつ | いきなり強いことをせず、軽いところから |
| 記録を残さない | 写真や動画は、あとでトラブルになりやすい |
| 迷ったら止める | 相手の様子がおかしいと思ったら確かめる |
SMは、相手を信頼していないと成り立たない遊びです。だからこそ、信頼できる相手を選ぶこと、ゆっくり進めることが大切なんです。
興味があるけれど、こわいとき
SMに興味はあるけれど、こわい、どうしたらいいか分からない、という人もいますよね。
- 想像するだけでも、本や映画で知るだけでもいい
- 試すなら、言葉のやりとりなど、からだへの負担がない軽いことから
- パートナーと話し合って、2人ともよければ
- 嫌だったら、いつでもやめていい
興味を持つことと、実際にすることは別です。自分のペースで、知りたいことから知っていけばいいんです。
よくある疑問
SMが好きなのは、昔のつらい経験のせい?
嗜好がどこから来るのかは、はっきりとは分かっていません。つらい経験と結びつけて考える必要はありません。ただ、嗜好のことで苦しさがあるときは、相談してかまいません。
パートナーにSMを求められたけど、興味がない
興味がないなら、断っていいんです。嗜好は、2人ともよいと思える範囲で楽しむもの。断ることは、相手を否定することではありません。
日常会話の「ドS」「ドM」と同じ?
日常会話の「ドS」「ドM」は、性格をざっくり表す言い方です。性の嗜好としてのSMとは、重なることもあれば、まったく別のこともあります。
はじめてSMに触れるときのステップ
SMに興味があっても、いきなり強いことを試すのは避けたほうが安心です。
| ステップ | 例 |
|---|---|
| 1. 話し合う | してほしいこと・NG・セーフワードを決める |
| 2. 言葉のやりとり | 呼び方を変える・少し強めの言葉 |
| 3. 雰囲気づくり | 照明や音楽で非日常を演出する |
| 4. 軽い刺激 | からだに負担がないことから |
| 5. 振り返る | 終わったら感想を話し合う |
一つひとつ確かめながら、2人が楽しいと思える範囲で進めてください。
SMとからだの安全
SMの中には、からだに負担がかかるものもあります。
| 気をつけたいこと | 理由 |
|---|---|
| 跡が残ることはNGにしておく | 日常生活に影響することがある |
| 首や呼吸に関わることはしない | 命にかかわる事故が起きることがある |
| 体調が悪い日はしない | 合図に気づきにくい |
| 痛みが強すぎたらすぐに止める | 本当にけがをしているサインのことも |
| 終わったあとにからだを確かめる | 傷や痛みがないか |
少しでもおかしいと感じたら、すぐに止めてください。けがをしたときは、医療機関を受診してください。
SMとパートナーとの関係
| 大切にしたいこと | ポイント |
|---|---|
| プレイと日常を分ける | 終わったら対等な2人に戻る |
| 相手の気持ちを確かめ続ける | 好みは変わることがある |
| 嫌になったらやめる | いつでもやめていい |
| 記録を残さない | 写真や動画はトラブルのもと |
SMは、信頼の上に成り立つ遊びです。信頼が揺らいでいると感じたら、いったん立ち止まって話し合ってください。
自分の嗜好を責めない
SMに惹かれる自分を、恥ずかしく思ったり、責めたりする必要はありません。同意と安全を守りながら楽しむなら、それは大人の自由な選択です。
苦しさがあるときは
嗜好のことで強く苦しんでいる、生活に支障が出ている、というときは、ひとりで抱えずに医療機関や相談先を頼ってください。
信頼できる情報を選ぶ
SMの情報には、危険なやり方を紹介するものもあります。安全と同意を大切にしている情報を選んでください。
同意と安全が、いつも2人の土台です。
まとめ
SMは、主導する側と委ねる側が、同意のうえで刺激や力関係のやりとりを楽しむ嗜好です。大人同士が合意して行うかぎり、病気とはみなされません。先に話し合い、セーフワードを決め、体調と気分を確かめ、終わったあとにはアフターケアを。命にかかわる行為はしない。同意と安全を土台に、自分たちのペースで向き合ってください。
- MSDマニュアル家庭版「性的サディズム障害」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-心の健康問題/パラフィリアとパラフィリア症/性的サディズム障害
- MSDマニュアル家庭版「性的マゾヒズム障害」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-心の健康問題/パラフィリアとパラフィリア症/性的マゾヒズム障害