【年代・ライフステージ】60代からの性感染症:年齢で無関係にはならない

妻を亡くして数年。最近、趣味の集まりで知り合った人と、少しずつ親しくなってきた。もしそういう関係になったら、と考えたとき、避妊のことはもう気にしなくていい年齢だと思っていた。でも、性感染症のことは考えたこともなかった。そんな人も多いのではないでしょうか。
このページでは、60代以降の性感染症について、知っておきたいことをまとめました。こわがらせるためではなく、安心してふれあうための知識として読んでください。
60代以降も性感染症はうつる
性感染症は、性行為(オーラルセックスなども含む)で、からだの粘膜などがふれ合うことでうつります。年齢は関係ありません。
| よくある思い込み | 実際 |
|---|---|
| 性感染症は若い人の病気 | 60代以降でも報告されている |
| 妊娠しないならコンドームはいらない | コンドームは性感染症の予防にもなる |
| 昔からの知り合いだから大丈夫 | 相手の性感染症の状態は、見た目では分からない |
| 症状がないから感染していない | 症状がないまま進む性感染症もある |
国の調査で見る、60歳以上の梅毒
国立健康危機管理研究機構の国立感染症研究所がまとめた「感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要」には、年齢別の報告数が載っています。60歳以上でも、男女ともに毎回報告があります。
| 時期 | 60歳以上の男性 | 60歳以上の女性 |
|---|---|---|
| 2024年4〜6月 | 285 | 49 |
| 2024年7〜9月 | 272 | 48 |
| 2024年10〜12月 | 264 | 52 |
| 2025年1〜3月 | 207 | 35 |
| 2025年4〜6月 | 266 | 42 |
※ 年齢などが不明・調査中の報告は含まれません。
数字は届け出られた報告の数で、検査を受けていない人や、気づいていない人は入っていません。この数字から言えるのは、「60歳以上でも梅毒にかかる人は、毎回一定の数いる」ということです。
妊娠の心配がなくなったあとの注意
閉経のあとは妊娠の心配がなくなるため、コンドームを使わなくなる人もいます。でも、コンドームには、性感染症を防ぐ役割もあるんです。
| 場面 | 考えたいこと |
|---|---|
| 新しい相手との関係 | コンドームを最初から最後まで使う |
| 長年のパートナーとの関係 | お互いにほかの相手がいなければ、心配は少ない |
| 相手にほかの関係があるかもしれない | コンドームと検査を考える |
また、閉経のあとは腟の粘膜が薄く乾きやすくなるため、小さな傷ができやすくなります。傷があると、性感染症がうつりやすくなることもあると言われています。潤滑剤を使うと、傷を防ぐ助けになります。
新しい相手との関係の前に
| 準備 | ポイント |
|---|---|
| 検査を受ける | 保健所では無料・匿名のところが多い |
| できれば2人で受ける | 「お互い安心するために」と提案する |
| コンドームを用意する | 男女どちらも用意しておく |
| 潤滑剤を用意する | 乾燥による傷を防ぐ |
厚生労働省の「性感染症検査・相談マップ」で、近くの検査の場所を探せます。
検査の話の切り出し方
60代になってから、検査の話をするのは照れくさいですよね。でも、検査は相手を疑うためではなく、お互いを守るためのものです。
- 「お互い安心したいから、一緒に検査を受けない?」
- 「年をとっても、こういうことはちゃんとしておきたいんだ」
- 「ゴムは使おうね。そのほうが安心だから」
こうした話ができる相手かどうかも、これからの関係を考える手がかりになります。
症状に気づいたら
| 気になる症状 | 相談先 |
|---|---|
| 性器や口のまわりの、痛みのないしこりやただれ | 泌尿器科・婦人科・皮膚科 |
| 手のひらや足の裏などの発疹 | 皮膚科・内科(性行為のことも伝える) |
| 排尿のときの痛み・うみ(男性) | 泌尿器科 |
| おりものの変化・かゆみ(女性) | 婦人科 |
梅毒は、症状が出たり消えたりしながら進むことがあり、症状が消えても治ったわけではありません。気になる症状があったら、性行為をひかえて受診してください。受診のときは、性行為のことも伝えると、検査につながりやすくなります。くわしくは「梅毒とは?」に。
パートナーにうつしてしまったかもしれないとき
性感染症が分かったときは、パートナーにも検査をすすめることが大切です。言いにくいことですが、パートナーが治療を受けないと、また感染をくり返すことがあります。伝え方に迷うときは、医師に相談してみてください。
コンドームを使うときの工夫
60代になってから、コンドームを使うのは久しぶり、という人も多いかもしれません。
| 工夫 | ポイント |
|---|---|
| サイズを選ぶ | きつすぎると萎えやすい。合うサイズを選ぶ |
| 着ける練習をする | ひとりのときに何度か試しておく |
| 潤滑剤と一緒に使う | 水性で、コンドームと使えるものを |
| 使用期限を確かめる | 古いものは破れやすい |
| オーラルセックスでも | 口と性器がふれ合う場合も、性感染症はうつることがある |
使い方は「コンドームの正しい使い方」にまとめています。最初から最後まで、正しく使うことが大切です。
検査で分かること
| 検査 | 中身 |
|---|---|
| 血液検査 | 梅毒・HIV・B型肝炎など |
| 尿の検査(男性) | クラミジア・淋菌など |
| 腟やのどの検査 | クラミジア・淋菌など |
保健所で受けられる検査の種類は、場所によってちがいます。受ける前に、どの検査ができるかを確かめておくと安心です。感染してからすぐには検査で分からない病気もあるので、いつ受ければいいかも相談してみてください。
よくある疑問
60代で検査を受けに行くのは恥ずかしい
検査を受ける年代はさまざまです。保健所の検査は匿名で受けられるところも多いので、気軽に利用してください。
長年連れそったパートナーとも、コンドームは必要?
お互いにほかの相手がいなければ、性感染症の心配は少ないと考えられます。ただ、どちらかに新しい関係があったかもしれないときは、検査を考えてください。
性感染症は治るの?
治療で治るものもあれば、つき合いながら暮らすものもあります。早く見つけて治療を始めることが大切です。
昔、性感染症にかかったことがある
治療が終わっていても、また感染することはあります。新しい相手との関係の前には、検査を考えてください。
パートナーに検査を断られた
断られた理由を聞いてみてください。それでも検査をしない場合は、コンドームを必ず使う、という形で自分を守ることができます。
相談できるところ
| 悩み | 相談先 |
|---|---|
| 性感染症の検査 | 保健所(無料・匿名のところが多い)・泌尿器科・婦人科 |
| 症状がある | 泌尿器科・婦人科・皮膚科 |
| パートナーへの伝え方 | 治療を受けている医療機関 |
まとめ
性感染症は、年齢に関係なくうつります。国の調査では、梅毒は60歳以上の男女でも毎回報告されています。妊娠の心配がなくなっても、新しい相手との関係では、コンドームを最初から最後まで使い、できれば2人で検査を受けてください。気になる症状があったら、性行為をひかえて受診すること。自分と相手を守ることは、何歳になっても大切です。検査やコンドームの話ができることは、相手を大切に思っているしるしでもあります。照れくさくても、ひと言から始めてみてください。
- 国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所「感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要」(2025年第2四半期)表3 https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idss/target-diseases/syphilis/notification/syphilis2025q2.pdf
- 厚生労働省「性感染症検査・相談マップ」 https://www.mhlw.go.jp/stikensa/
- 厚生労働省 HIV検査・相談「性感染症」 https://www.mhlw.go.jp/hivkensa/sti/