【年代・ライフステージ】60代以降、性欲がなくなるのは普通?続くのは変?

60代になっても、ふとした瞬間に、パートナーにふれたいと思うことがある。でも、「いい年をして」と思われそうで、誰にも言えない。反対に、もうずいぶん前から、性的なことへの関心がすっかりなくなった。パートナーに申し訳ない気もするけれど、自分ではこれで困っていない。どちらの気持ちも、60代以降によく聞く声です。
このページでは、60代以降の性欲について、責めずに、押しつけずに考えるためのヒントをまとめました。自分のことでも、パートナーのことでも読めるようにしています。
なくなる人も、続く人もいる
性欲の強さは、年齢だけでは決まりません。
| よくある思い込み | 考え方 |
|---|---|
| 60代になったら性欲はなくなるもの | 続く人もいる。個人差が大きい |
| 性欲があるのは若い人だけ | 年齢に関係なく、性への気持ちをもつ人はいる |
| 性欲がなくなったら、おしまい | 性欲がなくても、ふれあいや親しさは続けられる |
| 性欲がないのは病気 | 本人が困っていなければ、無理に変える必要はない |
なくなっても、続いても、どちらも自然なことです。大切なのは、自分がどう感じているか、困っているかどうかなんです。
性欲が変わる理由
60代以降に性欲が変わるのには、いくつかの理由が重なっていることが多いです。
| 理由 | 例 |
|---|---|
| からだの変化 | 女性は閉経後の女性ホルモンの減少、男性は男性ホルモンの変化 |
| 痛みや不調 | 腟の乾燥による痛み、勃起しにくさ、腰やひざの痛み |
| 病気や薬 | 持病や、飲んでいる薬の影響 |
| 疲れ・睡眠 | 介護や生活の変化で疲れている |
| 関係の変化 | パートナーとの会話が減った、気持ちが離れた |
| 気持ちの変化 | 気分の落ちこみ、自分のからだへの自信のなさ |
たとえば女性の場合、性行為が痛いことがきっかけで、性への気持ちが遠のいている、ということもあります。痛みは、潤滑剤や保湿剤、婦人科での相談で楽になることがあります。「性欲がなくなった」と思っていたけれど、実は「痛いのがいやだった」と気づく人もいるんです。
薬や病気の影響が気になるとき
飲み始めた薬のあとから性欲が変わった気がする、というときは、自分で薬をやめたりせず、処方した医師か薬剤師に相談してください。
ふたりの性欲に差があるとき
| よくあること | 考え方 |
|---|---|
| 一方はしたい、一方はしたくない | どちらが悪いということはない |
| 求めると断られてつらい | 断られたのは、あなた自身の否定ではない |
| 求められるのが負担 | 「したくない」と伝えてかまわない |
性欲の差は、どの年代のカップルにもあることです。60代以降は、からだの変化もあって、差が大きくなることもあります。
ふれあいの形を広げる
挿入をともなう性行為だけが、ふれあいではありません。
- 手をつなぐ・肩を寄せる
- 背中や手をマッサージし合う
- 寄りそって眠る
- 一緒にお風呂に入る
- 言葉で気持ちを伝え合う
「挿入はしなくてもいいけれど、くっついているのはうれしい」という人も多いものです。ふたりにとって心地いい形を、話し合いながら見つけていけばいいんです。くわしくは「性欲に差があるとき」も読んでみてください。
ひとりの性も、自由に
パートナーがいない人も、パートナーがいる人も、ひとりで自分のからだにふれる時間をもつことは自由です。何歳になっても、恥ずかしいことではありません。ひとりの時間は、自分のからだの変化を知る機会にもなります。
「卒業」も「現役」も押しつけない
60代以降の性について、「いつまでも現役で」という声もあれば、「もう卒業でいい」という声もあります。でも、どちらも人に押しつけるものではありません。
| 選べること | 例 |
|---|---|
| 続ける | パートナーとのふれあいを大切にする |
| 形を変える | 挿入にこだわらず、ふれあいを中心にする |
| ひとりで | 自分のペースで楽しむ |
| しない | 性的なことから離れて、ほかの親しさを大切にする |
どれを選んでも、まちがいではありません。
性欲について話すときの言葉の例
| 伝えたいこと | 言葉の例 |
|---|---|
| したい気持ちがある | 「たまには、くっついて寝たいな」 |
| したくない | 「最近、そういう気持ちになれないんだ。あなたのことは大切だよ」 |
| 痛みがある | 「痛いのが心配で。ゆっくりがいいな」 |
| 形を変えたい | 「挿入しなくても、マッサージし合うのはどう?」 |
からだの不安をへらす工夫
性欲があっても、「痛いかもしれない」「途中でうまくいかないかもしれない」という不安があると、踏み出しにくくなります。
| 不安 | 工夫 |
|---|---|
| 腟の乾燥や痛み(女性) | 潤滑剤・保湿剤を使う。婦人科で相談 |
| 勃起の不安(男性) | 挿入にこだわらない。泌尿器科で相談 |
| 腰やひざの痛み | 楽な姿勢を選ぶ。無理をしない |
| 疲れやすい | 時間に余裕のある日、体調のよい時間を選ぶ |
不安が減ると、性欲がもどってくる人もいます。からだのことを知って工夫することは、気持ちの面でも助けになるんです。
気分の落ちこみと性欲
気分の落ちこみが続くと、性欲だけでなく、いろいろなことへの関心が薄れることがあります。眠れない、食欲がない、何をしても楽しくない、という状態が続くときは、性欲のことより先に、心のことを医療機関で相談してください。
よくある疑問
性欲が強すぎて困っている
性欲が強いこと自体は、おかしなことではありません。ただ、急に強くなって行動が変わった、という場合は、病気や薬が関係していることもあるので、医師に相談してください。
パートナーが亡くなってから、性への気持ちがわいてきて戸惑う
死別のあとに、ふれあいを求める気持ちが出てくることもあります。罪悪感を覚える人もいますが、気持ちが動くのは自然なことです。
性欲がないことを、パートナーに申し訳なく思う
申し訳なく思う必要はありません。性欲がなくても、思いやりやふれあいで、親しさを伝えることはできます。
性欲を高める方法はある?
「これで性欲が高まる」と言い切れる方法はありません。サプリメントなどの広告には注意してください。痛みや不安が原因なら、それを減らすことで変わることがあります。気になるときは医師に相談してください。
パートナーに性欲がないと言われて、さびしい
さびしい気持ちは自然なものです。その気持ちを責めずに伝え、性行為以外のふれあいの形を一緒に探してみてください。
相談できるところ
| 悩み | 相談先 |
|---|---|
| 痛み・乾燥(女性) | 婦人科 |
| 勃起の悩み(男性) | 泌尿器科 |
| 薬の影響が気になる | 処方した医師・薬剤師 |
| 気分の落ちこみが続く | 心療内科・精神科 |
| ふたりの関係の悩み | カウンセリング・自治体の相談窓口 |
まとめ
60代以降、性欲がなくなる人も、続く人もいて、どちらも自然なことです。性欲の変化には、からだ・痛み・病気や薬・関係・気持ちなど、いくつかの理由が重なっていることがあります。ふたりの差は、ふれあいの形を広げることで歩み寄れることもあります。「卒業」も「現役」も押しつけず、自分にとって心地いい形を選んでください。性欲があってもなくても、パートナーや自分を大切にする気持ちは、ふれあいや言葉で伝えられます。年齢を重ねたからこそ見つかる、ふたりの心地よさもあるはずです。
- MSDマニュアル家庭版「閉経」(女性ホルモンの減少と腟の変化) https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/22-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E9%96%89%E7%B5%8C/%E9%96%89%E7%B5%8C
- 日本産婦人科医会「相談されないと対応しない性交痛のケア」 https://www.jaog.or.jp/lecture/13-%E7%9B%B8%E8%AB%87%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E6%80%A7%E4%BA%A4%E7%97%9B%E3%81%AE%E3%82%B1%E3%82%A2/