【同意・安全・トラブル】断り方の例

誘われたけれど、今日はそういう気分じゃない。そもそも、この人とはそういう関係になりたくない。途中で、やっぱりやめたくなった。そんなとき、「断ったら嫌われるかな」「雰囲気を壊したくない」「ここまで来て断るのは悪い」と思って、言い出せずにいる人は多いと思います。
でも、性的な誘いを断ることは、あなたの当然の権利です。どんな関係でも、どんな場面でも、どの段階でも、断っていいんです。理由を説明する必要もありません。
このページでは、断るときの言い方の例と、断ったあとのことをまとめました。断られた側の受け止め方についても触れています。
断りにくい理由
| 理由 | 例 |
|---|---|
| 相手を傷つけたくない | がっかりさせたくない |
| 関係が壊れるのがこわい | 嫌われたくない |
| 雰囲気を壊したくない | 盛り上がっているのに |
| ここまで来たから | 家まで来た・キスをした |
| 立場の差 | 先輩・上司・お金を出してもらった |
どれも自然な気持ちです。でも、断りにくいからといって、したくないことをする必要はありません。
「ここまで来たから」は理由にならない
家に行った、キスをした、途中まで進んだ。だからといって、その先にも同意したことにはなりません。性的同意は、行為ごとに、いつでも取り消せるものなんです。
言い方の例
| 場面 | 例 |
|---|---|
| パートナー | 「今日はしたくない」「また今度にしよう」 |
| 知り合ったばかり | 「そういうつもりはない」 |
| 途中で | 「ここで止めて」 |
| 気持ちを添えたい | 「あなたが嫌なわけじゃないけど、今日はやめておきたい」 |
| はっきり断りたい | 「しない」 |
短く、はっきり
断るときは、短く、はっきり伝えるのがいちばんです。「えーと、どうしようかな」「たぶん今日はちょっと」とあいまいに言うと、相手は「押せばいける」と受け取ってしまうことがあります。
理由はいらない
「なんで?」と聞かれても、理由を説明する必要はありません。「したくないから」で十分です。理由を言うと、「じゃあこうすればいい?」と言い返されて、断りにくくなることもあります。
パートナーには気持ちを添えてもいい
パートナーに断るときは、相手を否定するわけではない、という気持ちを添えると、相手も受け止めやすくなります。「今日は疲れてるから、くっついて寝るだけにしたい」のように、代わりの提案をするのもいい方法です。
言葉以外の断り方
言葉が出ないときは、行動で断ってもかまいません。
| 行動 | 意味 |
|---|---|
| 体を離す | 嫌だという意思表示 |
| 相手の手を払う・止める | やめてほしい |
| その場を離れる | 自分を守る |
言葉にできなかったからといって、同意したことにはなりません。黙っていること、抵抗しないことは、同意ではないんです。
断られた側の受け止め方
断られたら、すぐに受け入れてください。
| してほしいこと | してほしくないこと |
|---|---|
| 「わかった」と受け入れる | 理由をしつこく聞く |
| 不機嫌にならない | 何度も誘い直す |
| 「言ってくれてありがとう」 | 「ここまで来たのに」と責める |
断られたのは、あなたという人を否定されたのではなく、「今その行為をしたくない」という返事です。断りやすい関係は、相手が心から「したい」と言える関係でもあります。
しつこくされたら
その場を離れる、信頼できる人に連絡する、を優先してください。同意のない行為をされたときは、ワンストップ支援センター(#8891)に相談できます。
| 状況 | できること |
|---|---|
| しつこく誘われる | その場を離れる。帰る |
| 帰らせてもらえない | 信頼できる人に連絡する。危険なら110番 |
| 同意のない行為をされた | ワンストップ支援センター(#8891) |
| 断ったら脅された | 警察相談専用電話(#9110) |
断ったことで責められたり、しつこくされたりするなら、その関係を見直すサインです。あなたの「嫌」を受け止めてくれない相手とは、距離をおいていいんです。
よくある疑問
パートナーには断っちゃいけない?
パートナーでも、夫婦でも、断っていいんです。どんな関係でも、性行為には同意が必要です。
断ったら、関係が終わりそう
断られただけで関係を終わらせるような相手なら、その関係について考えてみてもいいと思います。
一度OKしたけど、やめたくなった
途中でやめていいんです。同意は、いつでも取り消せます。
断る前にできる「予防」
その場で断るのがむずかしいなら、断らなくてすむように、前もってできることもあります。
| 予防 | 例 |
|---|---|
| 2人きりにならない | 気が進まない相手とは、人の多い場所で会う |
| 自分で帰れるようにする | 帰りの手段とお金を確保しておく |
| お酒を控える | 判断がにぶらないように |
| 前もって伝える | 「今日はご飯だけね」と最初に言っておく |
| 信頼できる人に行き先を伝える | 何かあったときに気づいてもらえる |
前もって線を引いておくと、その場で断る負担が減ります。
断ったあとの気持ち
断ったあと、「悪いことをしたかな」「相手を傷つけたかな」と、自分を責めてしまう人もいます。でも、断ったのは、自分の気持ちとからだを守るための、正しい選択です。
| 断ったあとの気持ち | 考え方 |
|---|---|
| 相手に悪い | 自分の気持ちを大切にしただけ |
| 関係が壊れたらどうしよう | 断れる関係こそ、安心できる関係 |
| また誘われたらどうしよう | また断っていい |
断ったことで関係が終わるなら、それはあなたの「嫌」を大切にしてくれない関係だった、ということかもしれません。
立場の差があるとき
上司、先輩、取引先、先生。立場が上の人からの誘いは、特に断りにくいですよね。断ったら仕事や評価に影響するかもしれない、と思うと、なおさらです。
こうした立場の差を利用した誘いは、ハラスメントにあたることがあります。ひとりで抱えずに、職場の相談窓口や、信頼できる人に相談してください。2023年の刑法改正でも、立場の差などで断れない状態での性的な行為は、処罰の対象として整理されています。
断り方を練習しておく
いざというときに言葉が出るよう、ふだんから練習しておくのもひとつの方法です。
| 練習のしかた | ポイント |
|---|---|
| 声に出して言ってみる | 「今日はしない」を口に出す |
| 短い言葉を決めておく | 「やめて」「帰る」など |
| 断ったあとの行動も考える | その場を離れる・連絡する |
| 信頼できる人と練習する | 言い方を一緒に考えてもらう |
性的な誘いに限らず、ふだんの生活の中で「嫌なことは嫌」と言う練習をしておくと、いざというときにも言いやすくなります。
断ることに罪悪感があるとき
断ったあとに、罪悪感が残ることがあります。
| 罪悪感 | 考え方 |
|---|---|
| 相手をがっかりさせた | がっかりするのは相手の気持ち。あなたの責任ではない |
| 期待させてしまった | 同意はいつでも変えていい |
| 自分がわがまま | 自分のからだと気持ちを守るのは、わがままではない |
罪悪感を感じるのは、あなたがやさしい人だからです。でも、そのやさしさを、自分にも向けてあげてください。
断れなかったとき
断りたかったのに断れなかった、ということもあると思います。それは、あなたが弱いからではありません。こわくて声が出なかった、体が動かなかった、というのは、自然な反応です。望まない行為があったなら、それはあなたのせいではありません。ワンストップ支援センター(#8891)に相談できます。
あなたの「嫌」は大切なもの
断る言葉は、あなたの心とからだを守るための言葉です。
まとめ
性的な誘いを断るのに、理由はいりません。短く、はっきり伝えていい。言葉が出なければ、行動で断ってもいい。どんな関係でも、どの段階でも、断っていいんです。断られた側は、すぐに受け入れる。しつこくされたら、その場を離れて、信頼できる人や相談窓口を頼ってください。