【心と性】したくない気持ちは変?

パートナーのことは大切に思っている。一緒にいる時間も好き。なのに、性行為のことになると、気持ちが重くなる。誘われそうな雰囲気になると、なんとなく避けてしまう。そんな自分に、罪悪感を抱いている人は少なくないと思います。
「相手に悪い」「このままじゃ嫌われる」「私がおかしいのかな」。そう思いながら、気持ちが向かないまま応じてしまうこともあるかもしれません。
でも、したくない気持ちには、ちゃんと理由があることが多いんです。そして、理由がはっきりしなくても、したくないときは断っていい。このページでは、したくない気持ちの受け止め方と、伝え方、相談先をまとめました。男性にも女性にも起こることです。
したくない理由の例
| 種類 | 例 |
|---|---|
| からだ | 疲れ・痛み・月経・産後・病気・薬 |
| 気持ち | 不安・落ち込み・ストレス・自信のなさ |
| 関係 | わだかまり・不満・けんか・安心できない |
| 性行為そのもの | 痛かった・気持ちよくなかった・誘い方がいや |
| 環境 | 時間がない・家族が近くにいる・落ち着けない |
| もともと | 性的な関心が少ない(アセクシュアルという考え方もある) |
「理由がわからない」もある
自分でも、なぜしたくないのか分からないことがあります。それも自然なことです。理由をはっきりさせないと断ってはいけない、ということはありません。「なんとなく今日は」で十分なんです。
性行為そのものに理由があることも
じつは、これまでの性行為が「痛かった」「気持ちよくなかった」「自分のペースではなかった」ことが、したくない気持ちにつながっている場合があります。したくないのは性行為そのものではなく、今のやり方なのかもしれないんです。
それに気づくと、「どうすれば心地よくなるか」を2人で考えるきっかけになります。
したくないのに応じ続けると
「断ったら悪いから」と、気持ちが向かないまま応じ続けていると、少しずつ心がすり減っていくことがあります。
| 起こりやすいこと | 例 |
|---|---|
| 性行為がもっといやになる | いやな記憶が積み重なる |
| からだが反応しにくくなる | 濡れにくい・痛い・感じない |
| 相手を避けるようになる | 誘われる雰囲気そのものを避ける |
| 自分を責める | 「応じられない自分が悪い」と思い込む |
性的同意の考え方では、どんな関係でも、いつでも「したくない」と言えることが大切だとされています。パートナーであっても、夫婦であっても、それは同じです。
伝え方の例
- 「今日はそういう気分じゃない。でも、くっつくのはうれしい」
- 「最近ちょっと疲れていて。落ち着いたら話したい」
- 「あなたのことが嫌なわけじゃないの」
- 「最近、気持ちが向かなくて自分でも戸惑ってる」
伝えるときのコツ
| コツ | 理由 |
|---|---|
| 相手を否定しない言葉を添える | 「あなたが嫌なわけじゃない」で、相手の不安が減る |
| ほかのふれあいを提案する | 距離ができたと感じさせにくい |
| 落ち着いた時間に話す | 誘われた瞬間より、別の時間のほうが冷静に話せる |
| 自分の気持ちとして話す | 「私は今こう感じている」と伝える |
断るのは、相手を拒否することではなく、今の自分の状態を伝えることです。
パートナーから「したくない」と言われたら
逆に、パートナーから「したくない」と言われた側の気持ちも、とても揺れますよね。寂しい、悲しい、嫌われたのかと不安になる。
| できること | 例 |
|---|---|
| まず受け止める | 「わかった、話してくれてありがとう」 |
| 理由を問い詰めない | 本人も分からないことがある |
| 体調を気づかう | 「疲れてない?」「痛いところはない?」 |
| 自分の気持ちも伝える | 「少し寂しいけど、大事にしたい」 |
「したくない」と言える関係は、じつは安心できる関係でもあります。言えないまま我慢されるより、ずっといいんです。
長く続いてつらいとき
自分がつらい、関係がぎくしゃくする、というときは、婦人科・泌尿器科やカウンセリングで相談できます。
| こんなとき | 相談先 |
|---|---|
| 痛み・からだの不調がある | 婦人科・泌尿器科 |
| 気分の落ち込みが続いている | 心療内科・カウンセリング |
| 関係の中の問題が大きい | カップルで受けられるカウンセリング |
| 過去のつらい経験が影響している | カウンセリング・ワンストップ支援センター(#8891) |
「したくない」が自分らしさのこともある
性的な関心がもともと少ない、誰に対しても性的に惹かれない、という人もいます。アセクシュアルという言葉で表されることがあり、それは「直すべきもの」ではなく、その人のあり方のひとつです。気になる人は「アセクシュアルとは」も読んでみてください。
よくある疑問
夫婦なら応じるべき?
夫婦であっても、性行為は2人の同意があってはじめて成り立つものです。応じる義務があるわけではありません。
したくない日が続くのは、相手を愛していないから?
性的な気持ちと愛情は、いつも一緒に動くわけではありません。相手を大切に思っていても、したくない時期はあります。
断ったら関係が終わりそうでこわい
その不安も、相手に伝えていいんです。「断ると嫌われそうでこわかった」と話すことで、2人の関係が深まることもあります。
自分の気持ちを整理するヒント
「なぜしたくないんだろう」と考えても、ぐるぐるするばかりで答えが出ないこともありますよね。そんなときは、いくつかの問いに答えてみると、気持ちが整理しやすくなります。
| 自分に聞いてみること | 見えてくること |
|---|---|
| いつから、したくないと感じている? | 何かの出来事がきっかけか、少しずつか |
| ほかの人となら、したいと思う? | 相手との関係の問題か、自分の状態の問題か |
| ひとりのときの性的な気持ちはある? | 性欲そのものの変化か、性行為の場面の問題か |
| ハグやキスはどう感じる? | 触れ合い全体がいやなのか、性行為だけなのか |
| 体調や生活に変化はあった? | 疲れ・薬・ホルモン・産後などの影響 |
答えは、紙やスマホのメモに書き出してみてください。頭の中だけで考えるより、ずっと見えやすくなります。全部に答えられなくてもかまいません。
「したくない」と「できない」は違うこともある
したい気持ちはあるのに、痛みがこわい、からだが反応しない、という場合は、「したくない」ではなく「できない」の悩みかもしれません。その場合は、からだの原因を確かめることで楽になることがあります。女性なら婦人科、男性なら泌尿器科が相談の入口です。
「したくない」と「できない」を分けて考えると、何を相談すればいいのかが分かりやすくなります。どちらも、あなたが悪いわけではありません。
「したくない」を伝えたあとの関係
したくないと伝えたことで、関係がぎくしゃくすることを心配する人もいます。でも、言わずに我慢を続けるより、正直に伝えたうえで2人の形を探すほうが、長い目で見て関係は安定しやすいんです。伝えたあとは、性行為以外のふれあいや会話を大切にして、「あなたのことは大切」という気持ちを行動でも示してみてください。
「したくない」日が続くときのセルフケア
疲れやストレスが理由のことも多いので、睡眠や休息を優先してみてください。からだが元気になると、気持ちも少しずつ戻ってくることがあります。焦らなくていいんです。
まとめ
したくない気持ちは、変ではありません。からだ、気持ち、関係、これまでの性行為、環境。理由はさまざまで、はっきりしないこともあります。したくないときは断っていいし、断ることは相手を拒否することではない。長く続いてつらいなら、医療機関やカウンセリングを頼ってください。自分の気持ちを大事にすることが、2人の関係を大事にすることにもつながります。