【女性のからだ】アンダーヘア(VIO)は処理しないといけない?

温泉の脱衣所で、となりの人のアンダーヘアがきれいに整っていた。電車の広告は「VIO」の文字だらけ。友だちとの会話でも、通っている前提で話が進む。
処理していないのは自分だけ? そんな気持ちになりますよね。
結論から書くと、しなければいけないものではありません。からだの毛をどうするかは、髪型と同じで、本人が決めることです。ただ、選ぶための材料が広告ばかりだと、判断がかたよります。このページは、その材料を足すためのものです。
VIO ってどこのこと?
医学の言葉ではなく、美容の分野で使われている呼び方です。場所をアルファベットの形にたとえています。
| 呼び方 | 場所 |
|---|---|
| Vライン | 下着の前側、足のつけ根にそった三角のあたり |
| Iライン | 性器の両わき(大陰唇のあたり) |
| Oライン | 肛門のまわり |
まとめて「VIO」「デリケートゾーン」と呼ばれます。部位の名前そのものは「女性の性器の部位と名前」にまとめています。
早見表:3つの選び方
| 選び方 | 中身 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 残す(何もしない) | そのまま | とくに無し。不衛生のしるしではありません |
| 整える | 長さを切る・下着からはみ出す部分だけ処理する | 刃物を使うときの傷 |
| なくす・減らす | 自分でそる・抜く、または施術を受ける | 肌荒れ・やけど・契約 |
どれが上、という順番はありません。水着の季節だけ整える人もいれば、ずっと何もしない人もいます。途中で変えてもかまいません。
毛があるのは、変なことではない
アンダーヘアは、思春期に生えてくる、からだの成長のしるしのひとつです。生えている量・範囲・毛の太さには、大きな個人差があります。おへその下まで続く人、太ももの内側まで広がる人、うすい人。どれも幅のなかです。
「毛があると不潔」と言われることがありますが、毛があること自体が病気や不衛生のしるし、というわけではありません。毛を処理すると衛生面でよいことがある、と説明されることもあります。ただ、今回調べた範囲では、公的な機関がそれを裏づけているページは確かめられませんでした。ここでは言い切らないでおきます。
蒸れやにおいが気になる人は「デリケートゾーンのにおい、どこまでがふつう?」も読んでみてください。毛の有無より、洗い方と蒸れのほうが関係していることが多いんです。
自分で整えるとき
細かいやり方は道具や肌によって違うので、ここでは共通して言われていることだけを並べます。
- はさみやトリマーで長さを短くするのが、肌への負担がいちばん少ない方法とされています
- かみそりは、肌の表面も一緒にけずります。赤み・かゆみ・小さな傷が出やすい方法です
- 毛抜きで抜くと、毛穴が赤く腫れたり、毛が皮ふの中にもぐったりすることがあります
- 除毛クリームは、製品の説明に「使える場所」が書いてあります。粘膜に近い場所には使えないものが多いので、表示を確かめてください
処理のあとに赤み・ぶつぶつ・膿が出て、数日たってもひかないなら、皮膚科か婦人科に相談を。自分でつぶさないほうが安全です。
施術を受けるなら知っておきたいこと
ここからは、公的な資料で確かめられる話です。
国民生活センターは2017年5月、「なくならない脱毛施術による危害」という注意を出しました。全国の消費生活センターなどに、2012年度からの約5年間で、脱毛の施術でけがなどをしたという相談が964件寄せられた、という内容です。内訳は、エステで受けた脱毛が680件、医療機関で受けた脱毛が284件。VIO にかぎった数字ではなく、脱毛全体の件数です。
| 国民生活センターが伝えていること | 中身 |
|---|---|
| 多かった被害 | 皮膚の障害と、やけど |
| 治療が必要になった人 | エステで57.3%、医療機関で67.0%が、医療機関で治療を受けた |
| エステと医療機関の違い | エステができるのは、医行為にあたらない範囲の施術だけ。レーザーなどで毛の発生源を壊す施術は医療機関のもの |
| 気をつけること | 違いを理解する。受ける前に、リスクの説明を十分に求める。けがをしたら医療機関へ、そして消費生活センターへ |
数字は少し前のものですが、国民生活センターのページとして今も公開されています。医療機関なら何も起きない、エステなら必ず危ない、という話ではありません。どちらでも起きている、というのが資料の伝えていることです。
受ける前に聞いておくこと
- どんな機械で、どういう仕組みの施術か
- 起こりうる肌トラブルと、起きたときの対応(誰が診るのか・費用は誰が持つのか)
- 途中でやめたいときの扱い(返金の計算のしかた)
- その場で契約しなくてよいか
答えがあいまいなら、その日は決めない。持ち帰って考える時間をくれるところを選ぶ。それだけで避けられるトラブルは多いはずです。
デリケートゾーンは、皮ふがうすく、色の濃い場所です。ほかの部位より刺激を感じやすいと一般に言われています。痛みの感じ方も、必要な回数も個人差が大きいので、このページでは目安の数字を書きません。
困ったとき
- 施術のあとに、やけど・水ぶくれ・強い赤みが出た → まず皮膚科などの医療機関へ
- 契約・解約・返金で困った → 消費者ホットライン 188(最寄りの消費生活センターにつながります)
「相手のために」処理するか迷うとき
パートナーに「処理してほしい」と言われた。あるいは、言われてはいないけれど、そのほうが喜ばれる気がする。
相手の好みを聞いて、自分もそうしたいと思うなら、それでいい。気が進まないなら、断ってかまいません。からだの持ち主はあなたです。
痛みや費用をともなう施術を、相手の希望だけで受けるのは、あとで後悔しやすい選び方です。「整えるくらいならいいけど、全部なくすのは嫌」のように、できる範囲を伝える言い方もあります。
逆に、自分は処理したいのに、相手に反対されることもあるかもしれません。そのときも同じです。意見は聞く。決めるのは自分。
男性側が知っておきたいこと
女性のアンダーヘアについて、「ふつうは処理するもの」という思いこみがあるなら、それは映像や広告から来ている可能性が高いです。現実には、いろいろな人がいます。
希望を伝えること自体は悪くありません。ただ、「してほしい」と「するべきだ」は別のもの。相手が嫌がったら、そこで終わりにしてください。そして、同じことを自分にも求められたらどう感じるか、一度考えてみるといいと思います。
よくある疑問
婦人科に行くとき、処理しておかないと失礼?
必要ありません。そのままで診察に差しつかえることは、ふつうありません。処理したばかりで肌が荒れているほうが、かえって診にくいこともあります。
一度なくしたら、もう戻らない?
方法によります。自分でそっただけなら、また生えてきます。医療機関での施術は毛の発生源を壊すものなので、元に戻したくなっても戻らないことがあります。なくす範囲は、あとで気持ちが変わる可能性も入れて決めてください。
そると濃くなる?
そう言われることがありますが、公的な資料で確かめられた説明は見つけていません。切り口が太く見えるためにそう感じる、と説明されることが多いようです。
白髪が混じってきた
年齢とともに、アンダーヘアにも白髪は出ます。髪と同じ変化です。
相談できるところ
- 皮膚科・婦人科:処理のあとの肌荒れ・できもの・やけど
- 消費生活センター(188):施術でのけが・契約のトラブル
まとめ
VIO は美容の呼び方で、足のつけ根・性器のわき・肛門のまわりのこと。そこの毛を残すか、整えるか、なくすかに、正解はありません。施術を選ぶなら、やけどなどの相談が実際に寄せられていることを知り、リスクと解約の説明を聞いてから。誰かに言われたからではなく、自分がどうしたいかで決めていいことです。
- 国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170511_1.html