【男性のからだと心】早漏とは?どこからが悩みで、どう向き合う?

入れてすぐに終わってしまう。相手は気にしていないと言うけれど、本当はがっかりしているんじゃないか。次こそはと思うほど、緊張して余計に早くなる。そんな悩みを、誰にも言えずに抱えている男性は少なくありません。
ネットで調べると「平均は何分」「持続時間を延ばす方法」といった情報があふれていて、比べるほど自信がなくなっていく。でも、早漏という言葉の中身を知ると、自分が「病気としての早漏」に当たるのかどうか、少し落ち着いて考えられるようになります。
早漏の考え方
早漏は、射精が自分の思うより早く起こってしまい、コントロールできない状態のことです。国際性機能学会(ISSM)は、次のような目安を示しています。
| 種類 | 目安 |
|---|---|
| 生まれつき型(ずっと続いている) | 初めての性体験のころから、挿入の前か、挿入後およそ1分以内に射精してしまうことが、いつも、またはほとんどいつも起こる |
| あとから型(以前はそうではなかった) | 以前より明らかに早くなり、およそ3分以内になった |
どちらにも共通する条件は、2つあります。射精を遅らせることが、ほとんどいつもできないこと。そして、そのことで本人が苦しんだり、イライラしたり、性的なふれあいを避けたりするようになっていることです。
大事なのは、「時間が短い」だけでは早漏とは言わない、というところです。数字よりも、自分で調整できるか、そのことで困っているかが軸になっています。
どのくらいの人が悩んでいる?
ISSMの資料では、早漏で悩む男性は3%から30%と、調査によって大きな幅があると紹介されています。そのうえで、「挿入後およそ1分以内」という基準に当てはまる人は、おそらく3%未満だろうとされています。
自分は早いと感じている人の多くは、定義の上の早漏には当たらない可能性がある、ということになります。それでも困っているなら、相談していい悩みであることに変わりはありません。
原因は?
ISSMの資料では、さまざまな説はあるものの、早漏の原因ははっきり分かっていないとされています。一部の人では遺伝的な要因が関係している可能性があるものの、多くの人で、からだの側の原因が証明されているわけではありません。
一方で、経験の中で次のようなことが重なると、悩みが大きくなりやすいと言われています。
| 重なりやすいこと | どう影響するか |
|---|---|
| 「また早かったらどうしよう」という不安 | 緊張でさらにコントロールしにくくなる |
| 久しぶりの性行為 | 刺激に敏感になっている |
| 急いで終わらせるひとりの習慣 | 短い時間で射精する流れに慣れている |
| パートナーとの関係のぎくしゃく | 気持ちの余裕がなくなる |
あとから型の場合は、勃起のしにくさや、前立腺の炎症など、ほかの問題が関係していることもあります。急に変わったと感じたら、泌尿器科で相談してみてください。
自分でできる練習
ISSMの資料では、性に関する心理療法・行動療法として、射精が近づく感覚に気づき、刺激を止めて落ち着かせることを繰り返す「ストップ・スタート法」が紹介されています。
| 練習の考え方 | ポイント |
|---|---|
| 射精が近づく感覚に気づく | 「このあたりで限界が来る」というサインを知る |
| 手前で刺激を止める | 感覚がおさまるまで待つ |
| また再開する | これを何度か繰り返す |
| ひとりで → パートナーと | 慣れてきたら、パートナーにも協力してもらう |
すぐに結果が出るものではありません。何度か繰り返すうちに、自分のからだの感覚がつかめてくる、という性質の練習です。うまくいかない日があっても、それで振り出しに戻るわけではないので、記録をつけるくらいの軽い気持ちで続けてみてください。
ほかに、挿入の前のふれあいの時間を長くする、体位を変えて刺激の強さを調整する、厚めのコンドームを使う、といった工夫を試す人もいます。
ひとりのときの習慣を見直す
ひとりでするとき、いつも短い時間で済ませていないでしょうか。時間がない、誰かに気づかれたくない、という理由で急いで終わらせる習慣が続くと、からだがその流れに慣れてしまう、と考える専門家もいます。
ひとりの時間を、ストップ・スタート法の練習の時間に変えてみるのもひとつの方法です。射精が近づく感覚をゆっくり観察する。手前で止めて、落ち着いたら再開する。誰にも見られない時間だからこそ、気負わずに試せます。
「早い」と感じたとき、その場でできること
性行為の最中に「もう限界かも」と感じたときは、動きを止めて、少し休んでいいんです。体位を変える、キスやほかのふれあいに戻る、深呼吸をする。止まることは失敗ではありません。
あらかじめ「途中で止まることがあるかも」とパートナーに伝えておくと、止まったときの気まずさも減ります。
ISSMの資料では、治療として、性に関する心理療法・行動療法と、薬による治療が紹介されています。
| 治療 | 中身 |
|---|---|
| 心理療法・行動療法 | 射精の仕組みを学び、練習の方法を身につける。数回の相談を重ねることが多い |
| 塗り薬 | 性行為の前に塗って、感覚を少し鈍らせる |
| 飲み薬 | 神経の働きに作用して、射精を遅らせる薬 |
日本でどの薬が使えるか、保険がきくかどうかは、薬によって違います。泌尿器科、またはメンズヘルス外来で相談してください。
ISSMは、ネットで規制されていない薬を手に入れるのではなく、医療者にきちんと評価してもらうことをすすめています。ED治療薬と同じで、個人輸入の薬には偽造品や健康被害の危険があります。
パートナーとの話し方
早漏の悩みは、2人の悩みでもあります。ISSMの資料でも、治療の方針を決めるときにはパートナーも関わることがすすめられています。
| 話すときのヒント | 理由 |
|---|---|
| 「早くてごめん」で終わらせない | 謝るだけだと、相手も何を言えばいいか分からない |
| 2人で心地よい時間を増やす方法として話す | 挿入の時間だけが性行為ではない |
| 練習に協力してほしいと具体的に伝える | 相手も、どう関わればいいかが分かる |
パートナーの女性へ
パートナーが早く終わってしまうことに、どう反応すればいいか迷うこともありますよね。「早い」と口にすると傷つけそうで、何も言えないまま不満がたまる。それも苦しいことです。
挿入の時間の長さと、性行為の満足は、いつも一致するわけではありません。ふれあいの時間、言葉、気持ちのつながり。満足をつくるものはたくさんあります。もし話すなら、責める言い方ではなく、「こういうのも好き」「もっとこうしてほしい」と、2人の時間を増やす方向で伝えてみてください。
よくある疑問
平均は何分?
調べた研究や国によって数字がばらばらで、ひとつの平均にこだわる意味はあまりありません。自分たちが困っているかどうかを基準にしてください。
早漏とEDは関係ある?
関係していることがあります。勃起が続かないのがこわくて、無意識に急いでしまう、という人もいます。勃起のしにくさも感じているなら、両方まとめて泌尿器科で相談すると、原因を整理しやすくなります。
年齢とともに変わる?
経験を重ねて落ち着いてくる人もいれば、年齢とともに勃起の力が変わって、射精のタイミングも変わる人もいます。急に変化を感じたら、相談のタイミングです。
最後に
早漏は、時間の短さだけで決まるものではなく、コントロールできるか、困っているかで考える悩みです。原因がはっきりしないことも多い一方で、練習や治療で変わる人もいます。1人で比べて落ち込むより、パートナーや医療機関と一緒に考えていいんです。
- 国際性機能学会(ISSM)「Patient Information Sheet on Premature Ejaculation」 https://www.issm.info/media/attachments/2021/08/17/03-clinical-guidelines---issm-patient-information-sheet-on-pe---vjan-2015.pdf
- 帝京大学 泌尿器科 アンドロロジー診療「射精障害(分類と対処法)」 https://male-urology.jp/sexual_dysfunction/ejaculation/