【SM・ドミサブ】緊縛(縄)とは:文化と、からだへの危険

写真や映像で、縄で縛られた人の姿を見て、美しいと感じた。縛られることに惹かれる。緊縛は、SMの中でも独特の存在感がありますよね。
このページでは、緊縛とはどんなものかと、からだへの危険をまとめました。縛り方の手順は書いていません。縄は、ほかの軽い拘束よりからだへの負担が大きく、文字や映像だけで身につけるのは難しいものだからです。
緊縛とは
| 面 | 中身 |
|---|---|
| 行為として | 縄で人のからだを縛ること。SMのプレイの一部として行われる |
| 表現として | 写真・舞台・パフォーマンスなど、見せる表現として扱われることがある |
| 気持ちとして | 縛られることで委ねる感覚・包まれる感覚を味わう、という人もいる |
緊縛を表現として続けている人たちのあいだでは、安全のための知識や、教える場(講習)が大事にされていると言われます。
からだへの危険
| 危険 | 中身 |
|---|---|
| 神経のまひ | 腕や脚の神経が圧迫されると、しびれや、手首・足首に力が入らなくなるまひが起こる |
| 血流の悪化 | 締めつけで手足が冷たくなる・色が変わる |
| 皮膚のけが | 縄でこすれる・食いこむ・痕が残る |
| 転倒 | 縛られて手が使えないまま倒れると、頭や顔を打つ |
| 呼吸のさまたげ | 胸やおなかを強く縛ると、息がしにくくなる |
| 首 | 首にかかる縄は、命にかかわる。安全なやり方は無い |
| 吊り | からだを吊るす行為は、神経・血流・落下の危険が大きい |
腕の神経は、長く圧迫されると手首が上がらなくなる「橈骨神経まひ」を起こすことがあります。医療の情報サイトのMSDマニュアルでも紹介されているまひで、多くは圧迫を取れば戻るとされますが、長く続く・くり返すと、回復に時間がかかったり、後遺症が残ったりすることもあります。
縛り方を記事や動画だけで覚えない理由
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| からだは一人ひとり違う | 同じ縛り方でも、体格・骨格で危ない場所が変わる |
| 力加減が伝わらない | 文字や映像では、締める強さが分からない |
| 異変の見分け方は経験がいる | しびれ・色・呼吸の変化を見る目 |
| 外し方も技術がいる | 急いで外すときに、ほどけないと危険 |
文字や映像を見ただけで試して、けがをする例もあると言われます。どうしても学びたいなら、安全を大事にしている経験者や講習の場から学ぶ、という考え方が一般的です(ロコペリでは特定の講習や主催者は紹介していません)。
もし試すなら、外せない備え
| 備え | 中身 |
|---|---|
| 救助用のはさみ | 縄を切れる、先の丸いはさみを手の届く場所に |
| 首には縄をかけない | どんな理由でも |
| ひとりにしない | 縛られている人から目を離さない |
| 短い時間で | 同じ場所を長く圧迫しない |
| しびれたらすぐほどく | 「もう少し」はしない |
| 立たせない・吊らない | 転倒・落下の危険 |
| お酒を飲まない | 異変に気づきにくい |
| 止める合図 | 手が使えないときの合図も決める |
緊縛は、軽い拘束(手首を布でゆるく結ぶなど)とは別の段階のものです。ソフトSMの軽い拘束で満たされるなら、無理に縄に進まなくていいんです。軽い拘束の安全は「目隠し・軽い拘束の安全」にまとめています。
ほどいたあとに見ること
| 様子 | どうするか |
|---|---|
| 縄の痕・赤み | 多くは時間がたつと引く |
| しびれが残る | 安静にして様子を見る。続くなら医療機関へ |
| 手首・足首に力が入らない | 早めに医療機関へ |
| 皮膚が切れた・水ぶくれ | 清潔にして、深いなら医療機関へ |
| 息苦しさ・胸の痛み | すぐに医療機関・救急(119) |
縄の代わりに選ばれるもの
縛られる感覚に惹かれていても、縄を使わずに近い気持ちを味わう方法もあります。
| 惹かれるところ | 縄を使わない形の例 |
|---|---|
| 包まれる感覚 | 毛布やシーツでくるまれる |
| 動けない感覚 | 手を軽く押さえてもらう・「動かないで」と言われる |
| 委ねる感覚 | 決めごとを任せる・目隠し |
| 見た目の美しさ | 写真集や表現を「見る」ことで楽しむ |
見て楽しむときの注意
緊縛を表現として見るときも、気をつけたいことがあります。
| 気をつけたいこと | 理由 |
|---|---|
| 見たものをそのまま真似しない | 経験と準備があってこその表現 |
| 違法にアップロードされた映像は見ない・広めない | 出演者の権利を傷つける |
| 出演者の同意が分からないものは避ける | 同意のない映像の可能性 |
見る楽しみと、自分でする危険は別のものです。分けて考えてください。
縛られた経験のあとに気をつけたいこと
| 時期 | 気をつけたいこと |
|---|---|
| ほどいた直後 | しびれ・力の入りにくさ・皮膚の傷 |
| その日の夜 | 手首が上がりにくい・指が動かしにくい |
| 数日後 | 痕・しびれが残っていないか |
まひは、すぐにではなく、時間がたってから気づくこともあります。気になる変化があれば、早めに医療機関へ。
よくある疑問
縛られることに惹かれるのは変?
惹かれる気持ちそのものは、責めるものではありません。危険を知ったうえで、どう付き合うかを決めてください。
縄の痕が消えない
数日で引くことが多いとされますが、痕が長く続く、皮膚がただれている、というときは皮膚科などで相談してください。
写真を撮りたいと言われた
撮影は、あとで画像が広がる危険があります。「SMと撮影:同意の撤回と画像が広がる危険」も読んでから決めてください。
縄の跡を見て、家族に心配された
痕が残ると、暴力を受けたのではと心配されることがあります。本当に暴力を受けているなら、相談してほしいサインでもあります。そうでないなら、痕を残さない形を選ぶことも考えてください。
縛る側を頼まれたけど、自信がない
自信がないなら、引き受けなくていいんです。軽い拘束など、自分が安全を守れる範囲のことだけにしてください。
縄のプレイをする相手が「慣れてる」と言う
慣れていることは、安全の保証ではありません。救助用のはさみがあるか、首にかけないか、しびれたらすぐほどくか。基本の約束を守る人かどうかで判断してください。
相談できるところ
| 悩み | 相談先 |
|---|---|
| しびれ・まひが続く | 整形外科・神経内科などの医療機関 |
| 呼吸の異変・意識がない | 救急(119) |
| 皮膚のけが・痕 | 皮膚科 |
| 同意のない拘束をされた | ワンストップ支援センター(#8891)・警察(#9110) |
縄は、美しさと同じくらい、からだへの負担を持っています。知ってから向き合ってください。
- MSDマニュアル家庭版(英語版)「Mononeuropathy」(長く圧迫されて起こる神経のまひ) https://www.msdmanuals.com/home/brain-spinal-cord-and-nerve-disorders/peripheral-nerve-and-related-disorders/mononeuropathy
- MSDマニュアル家庭版「性的マゾヒズム障害」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-心の健康問題/パラフィリアとパラフィリア症/性的マゾヒズム障害
- 総務省消防庁「救急車の適時・適切な利用(適正利用)」 https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/