【SM・ドミサブ】リードする側(S・ドム)の男性が気をつけたい気持ち

パートナーをリードしたい。言葉で責めたり、少し強めに主導したりするのが好き。そんな自分の好みに気づいて、楽しんでいる男性もいれば、「相手を傷つけてしまわないか」と不安になっている男性もいると思います。
このページは、リードする側(S・ドム)の男性に向けて、気をつけたい気持ちの扱い方をまとめました。好みを否定するページではありません。相手に信頼され続けるための考え方です。
支配したい気持ちと、怒りを分ける
| プレイとしての支配 | 怒りや不満のはけ口 |
|---|---|
| 合意して、決めた時間だけ | 機嫌が悪いときに、相手にぶつける |
| 相手の反応を見ながら | 相手の様子を見ない |
| 終わったら対等に戻る | 日常でも見下す |
| 相手が喜ぶことが目的 | 自分がすっきりすることが目的 |
仕事のストレスや、相手への不満をプレイの中で晴らそうとすると、強さの加減がきかなくなります。怒っている日、疲れている日は、リードする役をお休みしてください。
相手の限界を、自分の都合で広げない
| ありがちなこと | 起こりうること |
|---|---|
| 「もう少しいけるでしょ」と強さを上げる | 相手が言い出せないまま、限界を超える |
| 前回より強いことを毎回求める | 相手が楽しめなくなる |
| セーフワードを使われると不機嫌になる | 相手が合図を使えなくなる |
| 決めたこと以外を、その場で足す | 合意が崩れる |
段階を上げるのは、相手が自分から「もう少し試したい」と言ったときだけ、と決めておくと安心です。セーフワードが出たら、理由を聞かずにすぐ止める。これがリードする側のいちばんの約束です。
プレイの外に支配を持ちこまない
| プレイの外で見かけたら注意 | 理由 |
|---|---|
| 相手の服装・交友関係を決める | 生活の支配になる |
| お金を管理する・取り上げる | 経済的な支配はDVのひとつ |
| 連絡をすぐ返さないと怒る | 監視・束縛 |
| 「お前は俺のもの」と日常で言う | 対等な関係が崩れる |
主従の関係を日常にも取り入れる約束をするカップルもいますが、その場合も、いつでも見直せる・やめられることが前提です。くわしくは「ドミサブ・SMとDV・モラハラの違い」へ。
リードする側が知っておきたいこと
| 知っておくこと | 中身 |
|---|---|
| 相手のサインを読む | 声・表情・呼吸・からだの色・反応の変化 |
| からだの危険 | 避ける場所・しびれ・やけど・首と呼吸の危険 |
| お酒を飲みすぎない | 加減がきかなくなる |
| 止める合図 | 声が出せないときの合図も決める |
| 終わったあとのケア | 相手を気づかう時間をつくる |
首や呼吸にかかわる行為は、リードする側がどれだけ気をつけても、安全なやり方はありません。求められても、しないでください。
同意と法律
同意していない相手への性的な行為は、性犯罪になります。2023年の刑法の改正で、同意のない性行為の扱いがはっきりしました。酔っている相手、眠っている相手、断れない立場にある相手とは、プレイをしないでください。同意していても、大きなけがをさせると、法律の問題になることがあります。
自分の衝動に悩んだら
医療の分野では、相手に苦痛を与える空想に惹かれるだけでは病気とはされません。ただ、MSDマニュアルでは、同意していない相手にその衝動を向けた場合や、本人が大きな苦痛を感じている、生活に支障が出ている場合を、障害と考えると説明しています。
| こんなときは相談を | 相談先 |
|---|---|
| 同意の無い相手に向けたくなる | 精神科・心療内科 |
| 衝動を抑えられない | 同上 |
| 怒りをパートナーにぶつけてしまう | カウンセリング・自治体の相談窓口 |
早めに相談することは、あなた自身と、大事な人を守ることにつながります。
相手のサインの読み方
リードする側は、相手の言葉だけでなく、からだのサインにも気を配ってください。
| サイン | 考えられること | どうするか |
|---|---|---|
| 返事が遅くなる・小さくなる | 限界に近い・こわい | 「いま何色?」と聞く |
| からだがこわばる・震える | 緊張・こわさ | 手を止めて声をかける |
| 息が速い・浅い | 苦しい・パニック | すぐに止める |
| 顔色・唇の色が変わる | 体調の異変 | 止めて、様子を見る。おかしければ119 |
| 泣き方がいつもと違う | 本当につらい | 止めて、役から降りる |
「プレイだから」と思いこまず、迷ったら止める。それで台なしになるプレイなら、もともと続けるべきではなかったのです。
自分の状態も確かめる
| こんなときは、リードしない | 理由 |
|---|---|
| 怒っている・イライラしている | 力の加減がきかなくなる |
| お酒をたくさん飲んでいる | 判断が鈍る |
| 疲れている・眠い | 相手の様子を見落とす |
| 相手に不満がある | プレイに本音の怒りが混ざる |
リードする側が自分の状態を確かめることも、相手の安全を守ることのひとつです。
相手が断ったとき
| してはいけないこと | 代わりにすること |
|---|---|
| 理由を問いつめる | 「教えてくれてありがとう」と受け止める |
| 不機嫌になる | 別の楽しみ方を一緒に考える |
| 何度も頼む | 相手から言い出すまで待つ |
| ほかの人と比べる | 目の前の相手の気持ちを大事にする |
断られたあとの態度で、相手はこれからも安心して断れるかどうかを判断します。
よくある疑問
相手が「もっと強く」と言う
求められても、からだの危険がある強さには上げないでください。相手のその場の言葉より、事前の合意と安全が優先です。
リードしたあと、自己嫌悪になる
トップドロップと呼ばれることもある反応です。「終わったあとに落ち込む」を読んで、自分のケアも大事にしてください。
Sだと言うと、こわい人だと思われる
好みと人柄は別です。相手の話を聞き、約束を守ることで、信頼は伝わります。
相手がリードされたがっているのに、リードの仕方が分からない
軽いことから、相手に具体的に聞いてください。「どう言われたらうれしい?」「何はいや?」と聞くことは、リードの一部です。
相手に「もっと怖くして」と言われた
こわさを演出するなら、言葉や雰囲気の範囲で。からだの危険がある強さには上げないでください。本当にこわがっているのか、演技なのか分からないときは、止めて確かめます。
プレイのあと、相手が泣いていた
すぐに役を降りて、気持ちを聞いてください。どこがつらかったのかを、責めずに聞くことが、次の安全につながります。
相談できるところ
| 悩み | 相談先 |
|---|---|
| 衝動・怒りのコントロール | 精神科・心療内科・カウンセリング |
| けが・体調の異変 | 医療機関・救急(119) |
| 関係が支配的になっている | DV相談窓口(加害の相談を受けているところもある) |
リードする側の魅力は、強さより、相手を安心させられることにあります。
- MSDマニュアル家庭版「性的サディズム障害」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-心の健康問題/パラフィリアとパラフィリア症/性的サディズム障害
- 内閣府男女共同参画局「DV相談窓口」 https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/vaw/consult.html
- 法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A」 https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html