【性教育の基本】女性のからだの仕組み

自分の性器を、鏡でじっくり見たことはありますか。「なんとなく恥ずかしくて」「見るものじゃない気がして」と、ほとんど見たことがないという人も多いですよね。学校の授業では断面図の子宮や卵巣は出てきても、外から見える部分の名前や、ひとりひとりの違いまでは教わらなかった、という声もよく聞きます。
でも、からだの仕組みを知らないままだと、ちょっとした変化に気づけなかったり、必要以上に不安になったりしてしまうんです。「形が変なのかも」「においが気になる」「これは病気?」。そういう心配の多くは、仕組みと個人差を知るだけでかなり軽くなります。
このページは、女性が自分のからだを知るためにも、男性がパートナーのからだを理解するためにも読める内容にしました。
外から見える部分(外性器)
外性器は、まとめて「外陰部」と呼ばれることもあります。いちばん外側から順に見ていくと、こうなっています。
| 部位 | はたらき | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 恥丘 | 恥骨の上のふくらみ。毛が生える部分 | 毛の量や生え方は人それぞれ |
| 大陰唇 | 外側のふっくらしたひだ。内側を守る | 色や厚みに個人差がある |
| 小陰唇 | 内側の薄いひだ | 左右で大きさや形が違うのはよくあること |
| クリトリス(陰核) | 感覚の神経が集まっている部分 | 見えているのは一部で、内側にも広がっている |
| 尿道口 | 尿の出口 | 膣とは別の穴 |
| 膣口 | 膣の入り口 | 月経の血が出てくるところ |
「尿と月経は同じ穴から?」という誤解
意外と多いのが、「尿も月経の血も同じところから出る」という思い込みです。実際には、尿道口と膣口は別々の穴なんです。尿道口のほうが上(クリトリス側)にあって、膣口はその下にあります。タンポンを使うとき、性行為のときにも、この位置関係を知っておくと戸惑いが減ります。
クリトリスは「小さな点」ではない
外から見えるクリトリスはごく一部で、内側には左右に脚のように広がる部分があると言われています。感覚の神経がとても多く集まっているので、性的な気持ちよさに大きくかかわる場所なんです。くわしくは「女性の性器の部位と名前」でもまとめています。
からだの中の部分(内性器)
外からは見えないけれど、月経や妊娠にかかわる大事な部分です。
| 部位 | はたらき | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 膣 | 子宮につながる管 | 伸び縮みする。ふだんは前後の壁がくっついている |
| 子宮頸部 | 子宮の入り口の部分 | 子宮頸がん検診で調べるところ |
| 子宮 | 妊娠したときに赤ちゃんが育つところ | 内側の膜がはがれて出るのが月経 |
| 卵巣 | 卵子を育て、女性ホルモンをつくる | 左右に1つずつある |
| 卵管 | 卵子が子宮へ向かう通り道 | 受精はふつうここで起こる |
膣は「穴」というより「伸び縮みする管」
膣というと、ぽっかり開いた穴を想像する人もいるかもしれません。でも実際は、ふだんは前後の壁がくっついていて、必要なときに伸びて広がる管なんです。性的に興奮すると奥のほうが広がり、潤いも増えます。だから、準備が足りないまま挿入すると痛みにつながりやすいんです。
卵巣は「ホルモンの工場」でもある
卵巣は卵子を育てるだけでなく、女性ホルモンをつくっています。このホルモンの量が周期の中で変わるので、月経や気分、肌の調子、性的な気分にまで影響します。年齢とともにホルモンが減っていくと、更年期と呼ばれる時期の変化にもつながります。
おりもののこと
下着につくおりものを見て、「多すぎる?」「色が変?」と気になったことがある人も多いですよね。おりものは、膣の中をきれいに保ち、細菌が入るのを防ぐためのものなんです。
| 時期・状態 | よくある変化 |
|---|---|
| 排卵のころ | 量が増え、透明で伸びるようになる |
| 月経の前 | 白っぽく、少しねばりが出ることがある |
| 性的に興奮したとき | 膣の潤いが増える(おりものとは別の分泌もある) |
| 相談したい変化 | 強いにおい・かゆみ・ポロポロした白いもの・黄色や緑色・血が混じる |
量や色が周期の中で変わるのは自然なことです。ただ、かゆみや強いにおいが続くとき、いつもと明らかに違うときは、感染症などのサインのこともあるので婦人科で相談できます。
「自分のは普通?」と思ったら
形・色・におい・おりものの量は、人によっても、月経の周期の中でも変わります。ネットや動画で見る性器と比べて不安になる人もいますが、見えているものが「標準」なわけではないんです。
| よくある心配 | 実際は |
|---|---|
| 小陰唇が左右で違う | 左右差があるのはごく一般的 |
| 色が濃い | 色素の濃さは人それぞれ。年齢や体質でも変わる |
| においがある | 少しのにおいがあるのは自然。強い・急に変わったときは相談を |
| 毛の生え方が気になる | 量や範囲には大きな個人差がある |
かゆみ・強いにおい・痛み・いつもと違うおりものが続くときは、婦人科で相談できます。「こんなことで行っていいのかな」と思うようなことでも、相談していいんです。
自分で見てみるという選択
手鏡を使って、自分の外性器を見てみる人もいます。場所や形を知っておくと、ふだんの状態がわかって、変化に気づきやすくなります。もちろん、見たくないなら無理をする必要はありません。知り方は人それぞれでいいんです。
パートナーとして知っておきたいこと
男性にとっても、女性のからだの仕組みを知っておくことは大切です。
- 膣は準備ができてから広がるので、急がないこと
- クリトリスは刺激に敏感なので、強すぎる刺激は痛みになりやすいこと
- 形や色、においについて、からかったり比べたりしないこと
- 月経やおりものは、からだを守るための自然なはたらきであること
知っているだけで、相手を傷つけない言葉や触れ方が選べるようになります。
よくある疑問
洗うときはどこまで洗う?
外側は、ぬるま湯や低刺激のソープでやさしく洗えば十分と言われています。膣の中を洗いすぎると、からだを守るはたらきが弱まることがあります。
婦人科では何をされるの?
相談の内容によって違います。話を聞くだけのこともあれば、内診や検査をすることもあります。気になることは、先に「内診がこわい」と伝えておくと配慮してもらいやすくなります。
形が気になって手術を考えている
形を変える手術もありますが、多くの場合、左右差や大きさは健康上の問題ではありません。痛みや日常生活での困りごとがあるかどうかを基準に、まずは婦人科で相談すると落ち着いて考えられます。
年齢とともに変わること
女性のからだは、ホルモンの変化とともに、年齢によっても少しずつ変わっていきます。
| 時期 | よくある変化 |
|---|---|
| 20代 | 月経の周期が安定してくる人が多い |
| 30代〜40代 | 月経の量や痛み、周期に変化が出ることがある |
| 更年期(閉経の前後) | ホルモンが減り、ほてり・気分の変化・膣の乾きなどが出ることがある |
| 閉経後 | 月経が止まる。膣の潤いが減り、性交痛につながることも |
「前より濡れにくくなった」「性行為のときに痛む」といった変化は、年齢やホルモンと関係していることがあります。我慢するものではないので、婦人科で相談すると、潤滑剤やほかの方法を教えてもらえます。
子宮頸がん検診のこと
子宮頸がん検診は、子宮の入り口の細胞を調べる検査です。自治体から案内が届くことも多いので、受けたことがない人は、一度確かめてみてください。
まとめ
女性のからだは、外から見える外性器と、膣・子宮・卵巣などの内性器でできています。形も色もにおいも人それぞれで、「普通」の基準はありません。仕組みを知っておけば、ふだんの状態がわかり、変化にも気づきやすくなる。自分のからだと仲よくなる第一歩として、知ることから始めてみてください。
- 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修) https://w-health.jp/
- ヘルスケアラボ「プレコンセプションケアとは?」 https://w-health.jp/preconception_care/about/