【性教育の基本】緊急避妊薬とは?

コンドームが破れていた。外れていた。ピルを飲み忘れていたことに、あとから気づいた。そういう瞬間って、本当に焦りますよね。「どうしよう」「大げさかな」「誰にも言えない」と、頭の中がぐるぐるしてしまう人も多いと思います。
そんなときに知っておいてほしいのが、緊急避妊薬です。アフターピルと呼ばれることもあります。避妊がうまくいかなかったあとに飲むことで、妊娠の可能性を下げる薬なんです。
この薬は、時間がたつほど効果が下がります。だから「あとで調べよう」より、「いまどうすればいいか」を知っておくことが大事です。このページでは、使うとき、飲む期限、手に入れる場所、飲んだあとのことを順にまとめました。
どんなときに使う?
緊急避妊薬が役立つのは、こんな場面です。
| 場面 | 例 |
|---|---|
| コンドームのトラブル | 破れた・外れた・途中から着けた・膣の中に残った |
| ピルのトラブル | 飲み忘れが続いた・吐いてしまった(種類によって対応が違う) |
| 避妊をしなかった | その場の流れで、何も使わなかった |
| 同意のない性行為 | 望まない形で性行為があった |
「これくらいで使っていいのかな」と迷う人もいますよね。でも、妊娠を望んでいないのに避妊がうまくいかなかったなら、それは相談していい理由です。大げさだと思わなくていいんです。
いつまでに飲む?
性交のあと72時間以内に飲む薬です。ポイントは「72時間以内ならいつでも同じ」ではなく、早く飲むほど効果が高いということ。
| 時間 | 考え方 |
|---|---|
| できるだけ早く | 効果がもっとも期待できる |
| 72時間以内 | 飲める期限の目安。過ぎる前に相談する |
| 72時間を過ぎた | あきらめずに医療機関に相談する。別の方法を案内されることもある |
夜中や休日に気づいたときは、オンライン診療や、開いている薬局を探す方法もあります。翌日まで待つより、まず調べて動いてみてください。
どうやって効くの?
緊急避妊薬は、主に排卵を遅らせることで、精子と卵子が出会うのを防ぐと考えられています。すでに妊娠が成立している場合に、それを終わらせる薬ではありません。
だからこそ、飲むタイミングが大事なんです。排卵が起きてからでは効きにくくなるので、早く飲むほど効果が期待できます。
100%妊娠を防げるわけではありません。飲んだあとも、3週間後くらいに妊娠検査薬で確かめるようすすめられています。
どこで手に入る?
| 場所 | ポイント |
|---|---|
| 医療機関(婦人科など・オンライン診療を含む) | 医師の診察を受けて処方してもらう。ほかの避妊方法の相談もできる |
| 一部の薬局・ドラッグストア | 2026年2月から処方箋なしで購入できる。研修を受けた薬剤師がいる店舗だけで、本人が購入し、薬剤師の前で飲む |
販売している薬局は限られます。厚生労働省のページに販売している薬局の一覧があり、行く前に電話で確かめるよう案内されています。
薬局で買うときに知っておきたいこと
- 買えるのは本人だけ。パートナーが代わりに買いに行くことはできない
- その場で、薬剤師の前で飲む
- 店舗によって在庫や対応できる時間が違うので、先に電話で聞くと確実
パートナーとして「自分にできることは?」と思う人もいますよね。付き添う、費用を一緒に負担する、薬局や病院を一緒に探す。その気持ちは、相手の心細さをかなり軽くします。
飲んだあとのこと
| 起こりうること | 目安 |
|---|---|
| 吐き気・頭痛・だるさ | 一時的に出ることがある |
| 不正出血 | 次の月経の前に少量の出血があることも |
| 次の月経 | 予定より早まったり遅れたりすることがある |
| 妊娠の確認 | 3週間後くらいに妊娠検査薬で確かめる |
飲んですぐに吐いてしまったときは、効果が十分に出ていないことがあります。処方を受けたところか薬局に相談してください。
次からの避妊を考える
緊急避妊薬は、あくまで「緊急のとき」のための薬です。ふだんの避妊の代わりにはなりません。これをきっかけに、ピルやコンドームとの組み合わせなど、ふだんの方法を見直す人も多いです。医療機関で処方を受けるときに、一緒に相談できます。
同意のない性行為のあとは
望まない性行為があったとき、からだのことも、気持ちのことも、ひとりで抱えるのはとても重いですよね。
ワンストップ支援センター(全国共通 #8891)では、緊急避妊薬のことも含めて、医療・相談・必要なら警察への連絡まで、まとめて相談できます。誰かに話すかどうか、何をするかは、あなたが決めていいんです。くわしくは相談先のページにまとめています。
よくある疑問
何度も飲んで大丈夫?
必要なときに使うことはできますが、ふだんの避妊の方法としてはすすめられていません。何度も必要になっているなら、ふだんの方法を医療機関で相談するのが近道です。
飲んだのに生理が来ない
予定より遅れることもあります。3週間後くらいに妊娠検査薬で確かめ、陽性だったときや、ずっと来ないときは婦人科で相談してください。
男性用に何かある?
男性が飲む緊急避妊薬はありません。だからこそ、コンドームを正しく使うこと、トラブルがあったときにすぐ相手に伝えることが、男性にできる大切なことなんです。
こんな気持ちになったら
緊急避妊薬が必要な場面では、からだのことだけでなく、気持ちのほうも揺れますよね。
| よくある気持ち | 知っておいてほしいこと |
|---|---|
| 恥ずかしい・責められそう | 医療機関や薬局では、ごく日常的な相談。責める場所ではない |
| 相手に言えない | 言うかどうかはあなたが決めていい。ひとりで動いてもいい |
| 費用が心配 | 医療機関・薬局で事前に聞ける。パートナーと分けるのも自然なこと |
| また同じことが起きそうで不安 | ふだんの避妊を見直すきっかけにできる |
| 妊娠していたらどうしよう | 3週間後くらいに確かめる。結果が出るまでの不安は、信頼できる人に話してもいい |
パートナーに「大げさだよ」と言われて、相談をためらってしまう人もいます。でも、妊娠するかもしれないのはあなたの体です。自分の判断を大事にしてください。
前もって知っておくと慌てない
いざというときにすぐ動けるよう、ふだんから次のことを知っておくと安心です。
- 近くで緊急避妊薬を扱っている薬局や、婦人科の場所
- 夜間や休日に使えるオンライン診療があるか
- 厚生労働省の販売薬局一覧の探し方
知っているだけで、焦っているときの数時間を短くできます。スマホのメモに残しておくのもひとつの方法です。
オンライン診療を使うとき
夜中や休日、近くに婦人科がない、知り合いに会いたくない。そんなときに選ばれているのがオンライン診療です。スマホのビデオ通話などで医師の診察を受け、薬を処方してもらう方法なんです。
| 確かめておくこと | 理由 |
|---|---|
| 薬がいつ届くか | 郵送だと届くまでに時間がかかる。72時間の期限に間に合うかを先に聞く |
| 近くの薬局で受け取れるか | 受け取りを選べると、早く飲める場合がある |
| 費用 | 診察料・薬代・送料などを合わせて確かめる |
| 医療機関の情報 | 実在する医療機関か、連絡先が書かれているか |
届くまでに時間がかかりそうなら、近くの薬局や医療機関に行くほうが早いこともあります。「いちばん早く飲める方法はどれか」で選んでください。
まとめ
緊急避妊薬は、避妊がうまくいかなかったときの「あとからの手段」です。72時間以内、できるだけ早く。医療機関でも、一部の薬局でも手に入る。飲んだあとは3週間後くらいに確かめる。焦っているときほど、この流れを思い出してください。迷う時間を短くすることが、いちばんの助けになります。
- 厚生労働省「緊急避妊薬を販売する薬局・店舗販売業の店舗における近隣の産婦人科医等との連携体制の構築について」(販売開始:令和8年2月2日) https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001666888.pdf
- 大阪府「薬局等で要指導医薬品である緊急避妊薬が購入できるようになりました」(本人のみ・薬剤師の前で服用) https://www.pref.osaka.lg.jp/o100100/yakumu/important_news/kinkyuhininyaku.html
- 厚生労働省「緊急避妊薬の販売が可能な薬局等の一覧」 https://www.mhlw.go.jp/stf/kinnkyuuhininnyaku_00005.html
- 厚生労働省「緊急避妊薬のスイッチOTC化に向けた進捗について」(令和7年2月) https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001542598.pdf